暑くもないのに汗を大量にかき日常生活に支障をきたす場合、多汗症の可能性がある。
日常生活において汗でかなり困るという自覚があればその可能性が高い。
汗との付き合い方
思春期では恥ずかしくて、友人にも学校の先生にも言えず1人で悩んでいる人が多いという。
夏なのに長袖を着ている子の中には、手汗を拭いている子が潜んでいる。
多汗症は脇の下、手足、顔、頭などに出る。
手足は低年齢から、脇の下は思春期、顔や頭は成人になって発症するといわれている。
エクリン汗腺は、全身にあって体温を下げるためのサラサラとした汗を出す。
アポクリン汗腺は、脇の下や耳など体の一部にあって、たんぱく質や脂質を含んだ汗を出す。
多汗症はエクリン汗腺からの汗が原因となっている。
エクリン汗腺は200万~500万個あるといわれている。
多汗症の人は、1つの汗腺から出る量が多い。
また働く汗腺の割合が多い。
多汗症は精神的な緊張が原因になることが多い。
受診した場合、自覚症状や他に病気がないかを問診する。
<多汗症の診断基準>
原因不明の汗が手、脇、顔、頭のどこかに6か月以上。
1.発症が25歳以下
2.左右同じ位でる
3.睡眠中は汗が止まる
4.家族歴がある
5.週1回以上困ることがある
6.日常生活に支障
※上記の項目が2個以上。
※左右で汗をかく量が異なる場合は、別の病気が潜んでいる可能性がある。
<手足の治療>
塩化アルミニウム製剤
水道水イオントフォレーシス
ボツリヌス毒素製剤注射
抗コリン薬(内服薬)
交感神経遮断術(重度の手のみ)
脇の治療も同様の薬剤を使用する。
但し、ボツリヌス毒素製剤注射は、脇の多汗症で日常生活に頻繁に支障をきたすほどの大量の汗が出る場合に限り保険適用となる。
顔や頭部の多汗症は、塩化アルミニウム製剤、抗コリン薬(内服薬)、ボツリヌス毒素製剤注射(自費)などの薬剤を使用する。
多汗症は完治することは難しいがコントロールすることができるようになってきている。