酔いのメカニズム
飲酒するにつれて血中のアルコール濃度が高まり、アルコールは脳に作用するので活動が徐々に麻痺してきます。それが酔うということだといいます。
飲む量だけでなく飲むスピードにも注意が必要です。あまり速く飲むと少ない量でも酔い回ってしまうこともあるといわれています。
アルコール → アセトアルデヒド → 酢酸 → 二酸化炭素+水 と進んでいきます。お酒に弱い人は、分解が遅く頭痛や吐き気をもよおし顔が赤くなることもあるといいます。
日本では10人中4人がアセトアルデヒドの分解が遅いお酒に弱い体質だといわれています。また、10人中1人はお酒がまったく飲めない人がいるといいます。
・ほろ酔い:陽気になる。ビール500ml 2本、日本酒 2合。
・酩酊:気が大きくなる。立てばふらつく。なんども同じことをしゃべる。そして気分が落ち込んだくるといいます。ビール500ml 3~6本、日本酒 3~6合。
・泥水:意識がはっきりしない。立てない。ビール500ml 7本以上、日本酒 7合以上。これより少ない量でも危険な場合もあるといいます。
・昏睡:死亡。急性アルコール中毒の状態だといいます。
病んでいく心と体
最も重大なことはアルコール依存症と考えられています。日々どうしても飲まずにいられない。量のコントロールもできない。健康や生活に支障が現れてもやめられないといいます。
脳内がアルコールに関するブレーキが壊れている状態だと考えられます。アルコール依存症はうつ病を合併しやすいともいわれています。最後の飲酒が自死につながることもあるそうです。
アルコール依存症のサインとして、酒が強くなり量が増加していく。ほろ酔いでは飲んだ気がしなくなる。飲んで記憶を失うようになる。飲むことを優先した生活になる。ということが起こります。こういった場合は早めに医療機関を受診して頂きたいです。
アルコール依存症は推定で100万人いるといわれています。但し、医師にはいいにくいのか100万人の5%しか治療していないそうです。アルコール依存症の従来の治療は断酒だったといいます。
最近は減酒も効果あるのではないかといわれています。3~5割減らす人が多いといいます。減酒のための薬(ナルメフェン)が2019年に初めて登場したといいます。
飲酒がもたらす主な病気は、アルコール依存症、肝臓の病気、すい臓の病気、高血圧、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、認知症、がん、などがあるといいます。アルコールの問題がある人は認知症を発症しやすいといわれています。若年性認知症は約3倍にもなるそうです。
飲酒に関係するがんは、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肝臓がん、大腸がん、乳がんなどがあるといいます。喫煙しながらの飲酒はがんのリスクは非常に高まることが分かっています。
お酒に弱い男性の場合、まったく飲まない人やほとんど飲まない人に比べ、食道がんの発症は、1週間の飲酒量(日本酒換算)9合以上は65倍、18合以上は104倍にもなるといわれています。
ほどほどの量とは?
厚生労働省「健康日本21」によると、節度ある適度な飲酒はアルコール1日平均20g程度といいます。ビール500ml、日本酒1合、チューハイ350ml(7%の場合)、焼酎100ml、ワイン200ml、ウイスキー60ml程度になります。
これらは一般男性の場合で、女性や高齢者はこれより少ない量が望まれています。アルコール1日平均40g以上(男性)、20g以上(女性)の場合、生活習慣病のリスクが高まると考えられています。
休肝日を設けることで全体の飲酒量を減らしたり、肝臓を休めることも必要ではないでしょうか。飲酒は少しなら健康に良いを覆す研究もあるといいます。
195の国や地域の飲酒に関する研究を総合的に解析(飲酒による病気や怪我など23のリスク)した結果、お酒はまったく飲まないことが健康に最も良いというレポートもあるようなのです。
こんな飲酒は避けたい
嫌なことを忘れるために飲む(ストレス解消)は、飲んでもストレスの原因がなくなるわけではないので、アルコールだけに頼っていると依存症になってしまうかもしれません。
寝るために飲むのもよくないといいます。寝つきはいいかもしれませんが、眠りが浅くまた途中で目が覚めることあり酒量が増えていく危険性があります。