悪性リンパ腫は、血液のがんの約6割を占める病気で、患者の数も増加している病気といわれています。
体で何が起こっている?
リンパ球は体の中で免疫システムを担当、ウイルスなどの外敵と戦い排除する役割をになっています。
リンパ球を体の隅々まで運ぶために張り巡らされているのがリンパ管で、その途中にはリンパ節があり、主なものは扁桃腺、首、脇の下、脚の付け根などです。
悪性リンパ腫になるとリンパ節が腫れ、大きさは1センチ以上で複数ある場合もあるといいます。「腫れがひかない」といって病院を訪れ、悪性リンパ腫だと分かる場合が多いようです。
進行すると38度を超える熱が続いたり、半年以内に10%以上の体重減少や、ひどい寝汗などの症状が現れることがあります。リンパ球は全身を巡るため、あらゆる臓器に腫瘍ができる可能性あるといわれています。
大腸の場合お腹が張ったり痛くなったりするといいます。脳の場合は、頭痛や吐き気、手足のまひや痙攣などが現れることがあるといいます。
自分のタイプを知る
悪性リンパ腫は70種類以上あり、悪性度や進行のスピードがことなるといいます。リンパ球にはB細胞とT細胞があり、日本人の場合4分の3はB細胞ががん化するタイプといわれています。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(33%)、悪性度は中程度で月単位で進行するといいます。ろほう性リンパ腫(7%)とMALTリンパ腫(8%)は、悪性度は低く病状も年単位でゆっくり進行するといいます。
リンパ球の生検を行いどのタイプか判定するといいます。また腹部のCT検査を行い転移の状態を確認するといいます。胃や腸には胃カメラなどを使用して検査が行われます。
リンパ節1か所だけに腫瘍がある場合はステージⅠ。
2か所以上のリンパ節に腫瘍がある場合はステージⅡ。
2か所以上のリンパ節に腫瘍があり、しかも横隔膜の上下、両方に腫瘍がある場合はステージⅢ。
リンパ節の腫瘍に加えて、肝臓や肺など他の臓器に腫瘍ができている場合はステージⅣ。
治療法
▽びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
R-CHOP療法。Rはリツキシマブという分子標的薬。CHOPは3種類の抗がん薬とステロイド薬を組み合わせたもの。
このR-CHOP療法を3週間ごとに6回行う。最初の1週間だけ入院しあとは外来になります。CTやPETで腫瘍が認められなくなる寛解を目指します。
副作用は、食欲不振や吐き気、倦怠感、手足のしびれ、発熱や脱毛など。また抗がん薬やリツキシマブによって白血球やリンパ球が減少するため、感染症にかかりやすくなるといいます。
細菌感染症の他ニューモシスチス肺炎や帯状疱疹にかからないような予防治療を行います。更にステロイド薬を使用するので、寝つきが悪くなったり、イライラしたり、血糖値が上がって糖尿病になってしまう人もいるといいます。
▽ろほう性リンパ腫
ステージⅠまたはⅡの場合、放射線療法。がん細胞を破壊して寛解を目指します。ステージⅢ、Ⅳの場合、腫瘍、がん細胞の量が少ないと判断されると、症状がなければ治療をしないこともあるといいます。
進行が大変遅いので体の中にがんが数か所あっても、そのまま大きくならずに数年以上経過することがあるからだそうです。
症状が出ればリツキシマブを単独で使用。がん細胞の量が多い場合は、リツキシマブまたはオビヌツヅマブといった分子標的薬と抗がん薬やステロイドを組み合わせた薬物療法を行い寛解を目指します。
▽MALTリンパ腫
ピロリ菌の検査。陽性の場合は除菌。除菌するだけで寛解になることもあるといいます。陰性の場合は放射線療法またはリツキシマブで寛解を目指します。
▽移植
ろほう性リンパ腫の一部やびまん性大細胞型B細胞リンパ腫が再発した場合、それまでの薬物とは組み合わせを変えた救援療法を行い、効果がみられれば移植を検討します。
自分の造血幹細胞を使った自家移植。悪性リンパ腫の場合、がん化した細胞は骨髄内や血液中にはほとんどないので自分の造血幹細胞を使用することができるといいます。
このような自家移植は全身の状態にもよりますが、65~70歳位まで行うことが可能だといわれています。