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桃太郎裁判とは?

誰もが知っているおとぎ話の桃太郎。子どもの頃に読んだ後、これでいいのかと漠然とながら違和感のようなものを感じた記憶がある。

桃太郎は見方を変えれば、鬼ヶ島に押し入り刀で鬼たちを殺傷した。さらに財産を奪っているので現代では強盗殺人の罪に問われるはずだ。

裁判の行方
【検察】
桃太郎は猿、犬、キジを従え、鬼退治と称して鬼ヶ島に上陸、持っていた刀で鬼の1人を切り殺し、30人以上に重傷を負わせた。

そして鬼たちが持っていた財産を奪って村に戻った。刑法第240条の強盗殺人罪に当たる。この余りにも凶悪な犯行は死刑が相当だと考える。

【被告の桃太郎】
間違いない。

【弁護人】
鬼に襲われる人を守るためやむを得ず行われたものであり、その動悸には十分な情状酌量の余地がある。桃太郎を死刑にすべきではない。

【証人尋問】
検察官側証人:殺された鬼の助の妻

あの夜夫は寄り合いがあって出かけていた。22時頃急を知らせるドラの音が聞こえきて、心配になり子供を背負って夫のいる所へ向かった。

仲間がうめき声をあげながらそこら中に倒れているのが見えた。夫を見つけて抱きかかえたが、もう虫の息で子供を頼む鬼芋をよろしくといって息絶えた。

私たち鬼は人間から酷い差別を受けてきた。見た目が違う肌の色が違うといって鬼ヶ島に隔離された。今回もただ鬼だということで襲われた。

桃太郎には死をもって詫びて貰いたい。

弁護側反対尋問
ただ鬼だということで襲われたといったが、バイクに乗った赤鬼がおばあさんからカバンをひったくりその際大ケガをおわせた。

また鬼の一団が村を襲い、食料や家畜を根こそぎ奪っていった。このように鬼が侵す犯罪は後を絶たない。

犯罪を犯すのは生きるために仕方がない、差別されている弱者だから仕方がないというが犯罪が増え続けている。

親を奪われた子供がいるということ、生活を壊された人たちがいるということ、そこで桃太郎が立ち上がった。これは正義とはいえなのだろうか。

弁護側証人:桃太郎のおばあさん

桃から生まれた桃太郎、素直で明るくて何より力持ち。僕がおばあさんの分も働くよと言ってくれた自慢の息子だ。

今回事件の発端となったのは、ネットに流れた鬼からの襲撃予告。人間に追われた土地を奪い返すために人間に対して無差別攻撃をするよと。

そこで桃太郎が立ち上がった。命を落とすかもしれないのでおじいさんと一緒に止めたが、桃太郎は正しいと思いきびだんごを作って持たせた。

検察側反対尋問
襲撃予告が鬼ではなく人間が行ったものだったらどうするか?おばあさんは他の方法を考えるかもしれないという。

鬼には暴力をふるってもいいが人間にはふるわないのか。どうして鬼と人間を差別するのか。おばあさんは迷惑をかけられていて大変なことを分かってもらえない。

検察側証人:桃太郎に同行した犬
きびだんごは欲しかったが、刀をちらつかされて仕方なく同行した。鬼は親切だった。それに丸腰で襲ってくる気配はなかった。

逃げ回る鬼たちを桃太郎はばっさばっさと切った。桃太郎のほうがよっぽど鬼だと思った。

弁護側反対尋問
猿、犬、キジは桃太郎と一緒に暴行し、鬼から奪った財産の分け前を貰っていたが不起訴になっている。なぜか?

桃太郎に不利な証言をするなら不起訴にするというような司法取引をしたのか?検察官は否定する。

被告人質問:桃太郎
【弁護人】
村のために鬼退治した。罪に問われるとしても鬼が懲りてくれればよかった。

川でおばあさんに拾ってもらわなければ生きていない。桃から生まれたのにおじいさんやおばあさん、村の人たちは気味悪がらずに育ててくれた。

皆に生かして貰ったこの命、使いどころはココだと思った。弁護士は、最後に全国から多数寄せられた減刑嘆願書を出して民意の現れだと強調した。

【検察官】
桃太郎はネットでは根も葉もない誹謗中傷を受けていて、村では避けられるようになっていた。そんな折見計らったようなタイミングでネットに流れた鬼からの襲撃予告。

そして桃太郎は鬼を退治して自分の居場所を取り戻した。実は襲撃予告は桃太郎が流した。結果村の英雄といわれた。

桃太郎は人間からいわれのない差別を受けていた。自分の手のひらに人間を載せて、右往左往するさまを嘲笑ってやりたかった。

自分の目的を達成するために全く関係のない鬼を何のためらいもなく犠牲にした。愚かな人間の1人にすぎない。

最後に
今回の事件を生み出したのは差別を許すこの社会、私たち1人1人にはびこる悪意なのかもしれない。

桃太郎も被害者の1人だった。今後このような犯罪を生み出さないためにも差別のない社会を構築するためにも、桃太郎を死刑にしてはいけない。

このように弁護士は最後に述べた。これから裁判員によって判決が話し合われる…