強迫症は、汚れが落ちた気がせずに1時間以上も手を洗い続けたり、家の鍵を閉めたかどうか心配になって仕方なく何度も確認しに戻るなど、同じ行動を繰り返す心の病気です。
無意味な行動に毎日1時間以上費やし生活に多大な支障をきたすと考えられている。
分かってても止められない
▽強迫観念
自分の意思に反して繰り返し頭に浮かぶ特定の考えに囚われてしまう。
ベランダの鳥のフンが体に染み付く、また健康に悪影響を及ぼすと思い込む。
▽強迫行為
強迫観念による不安を打ち消すために行う特定の行為。1日の大半を手洗いやシャワーに費やすなど。
【強迫症の主な症状】
・不潔恐怖、洗浄強迫
・確認行為
戸締り、火の元などを何度も何度も確認してしまう。
・病的な疑念など
クレジットカードを落として悪用されるのではないか心配で、下を見て落としてないかいつも確認する。
・きっちりする行為
机の上の物を左右対称に何回も並べ直す。ペットボトルなどのふたが閉まっているか何度も確認する。
※強迫症の原因は分かっていないが、対人関係、仕事上のストレス、妊娠、出産、感染症などが、きっかけになるのではないかと考えられている。
巻き込まれる家族
例えば不潔恐怖の妻が、夫にきれいになった?汚れてない?など何度も訊くようになった。
また夫が帰宅すると、玄関先で服を脱がされ、直ぐに入浴して貰うようになりストレスを感じるようになった。
不安や心配を振り払うために家族に補償を求めるようになる。家族の巻き込みが病気の経過とともにエスカレートする。
やがてより完璧な確認などを求めるので家族は応えきれなくなる。
薬と認知行動療法
【強迫症の主な薬】
抗うつ薬:SSRI 選択的セロトニン再取り込み阻害薬
・脳のセロトニン(神経伝達物質)の量とバランスを保つ。
・不安症が和らぐ。
【認知行動療法】
ネガティブなものの見方、行動の偏りを修正する。
何を怖れどんなことを繰り返し行っているか客観的に認識する。
<机に触るのが怖い場合>
机に触った手で髪の毛、顔、洋服を触り、1時間手を洗わない。できるところから段階的に行う。少しずつ確実に行う。
-不安階層表-
100 トイレのドアノブ
80 畳や床を触る
60 スイッチやリモコン
40 ソファーを触る
20 机を触る
※1時間以上手を洗っていた人が、認知行動療法を開始16週後には手洗いが1分になったという。
認知行動療法を受けたい場合は、専門の医療機関に問い合わせするか、主治医に相談して紹介して貰いましょう。