人の視線が怖い、人と話すのが怖い、顔が真っ赤になる、滝のような汗が出るなどが極端になって、人とかかわる時に強い不安を感じ日常生活に支障をきたすようになると社交不安症が疑われる。
約200万人が一生に一度は社交不安症を発症するといわれており、思春期に多い。
人前に出るのが怖い
<社交不安症の症状>
・赤面恐怖:人前で顔が赤くなるのが怖い。
・スピーチ恐怖:人前で話すのが怖い。
・視線恐怖:視線が怖い。
・書痙:人前で文字を書くと手が震える。
・発汗恐怖:緊張でハンカチを持たないと落ち着かない。
・会食恐怖:他の人に自分が食べているところを見られるのが怖い。
社交不安症では、緊張していると知られてはいけないと思う。変な人だと思われるのではないかと心配する。人間関係で失敗したら人生終りなど極端な考え方をしてします。
なぜ不安が高まるか
不安を感じるのは脳の扁桃体で、社交不安症の人は扁桃体が過敏になっていると考えられている。MRIで調べると人の顔写真を見ると過剰に反応する。
扁桃体の過剰な反応は、前頭葉が抑えるのだが不安を抑える機能が弱くなっていて、扁桃体の反応を抑えられないと考えられている。
<チェックリスト>
▽人前で質問に答える、発表するなど、注目される状況が怖い。
▽グループ活動に参加する、他の人がすでに座っている場所へ行くのが怖い。
▽人前で恥ずかしいことをして、他人から否定的に評価されることが怖い。
いずれかの怖さが度を超え、その状況を避けるために生活に支障が出たり、その状況を耐え忍んで酷いつらさを感じることが6か月以上続くと、社交不安症が疑われる。
放置するとうつ病やアルコール依存症になる場合もある。人に相談するのは勇気がいるかもしれないが、早めにスクールカウンセラー、産業医に相談して頂きたい。
また、精神科、心療内科、メンタルクリニックなどを受診することも推奨されている。
治療法
薬:抗うつ薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
不安症状を和らげる効果が認められている。副作用は吐き気、眠気など。
急にやめると、頭痛、眠気、けん怠感などの薬物中止後症状が現れることがある。薬を減らす時は、医師の指示のもとてゆっくり減らしていく。
認知行動療法
ネガティブなものの見方、行動の偏りを修正する。2021年にまとまった社交不安症の診療ガイドラインで認知行動療法が推奨されている。
人前で不安になった時に浮かんでくる考えを書出し、その時の行動、感情、体の反応を書く。
対処法のポイントは、自分ではなく相手に注意(意識)を向ける。注意を自分から相手にシフトするトレーニング。
具体的には、相手の髪型や服装などに注意を向けるようにする。後から似顔絵を描けるくらい相手のことを観察する。
またビデオ・フィードバックという方法がある。緊張を感じる場面を動画で撮影し、自分が思っているイメージと現実のギャップを客観的に確認する。そして少しずつ行動に移していく。