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甲状腺の病気とは?

成人女性の10人に1人が甲状腺の病気といわれている。症状は疲れやすい、だるい、動悸がするなど、病気でなくてもありそうなことなので、放置されていることも多い。

治療が必要な甲状腺の病気は約240万人、そのうち治療を受けている人は約60万人といわれていて、甲状腺の病気と気づいていないが多いことが分かる。

甲状腺は首の前側、喉仏の下にある内分泌臓器。蝶が羽を広げたような形で重さは13g位。甲状腺ホルモンが、一生涯ずっと一定の量分泌され続ける。

このホルモンは、人間のエネルギーの元であり、元気の源といわれている。甲状腺ホルモンが過剰になる病気がバセドウ病、低下してしまう病気が橋本病。

この症状が出たら検査
<バセドウ病の主な症状>
・首の腫れ、目の異常、眼球の突出

・甲状腺ホルモンの過剰分泌による症状
息切れ、動悸、手指や足の震え、汗をかく、暑がり、痩せるなど

<橋本病の主な症状>
・首の腫れ
・甲状腺ホルモンの不足による症状
無気力、物忘れ、筋力低下、寒がり、疲れやすい、肌がカサカサなど

※こんな症状が気になったら検査を
無気力、朝の目覚めが悪い、余り食べていないのに体重増加、便秘、うつ状態

【甲状腺の検査】
・血液検査:ホルモンの状態、自己抗体の有無

・超音波検査:甲状腺の形を調べる

<甲状腺ホルモンのメカニズム>
甲状腺ホルモンを出しなさいという指令を出すのは、脳の下垂体。ここから甲状腺刺激ホルモンが出て、甲状腺にあるスイッチを押すと必要な量の甲状腺ホルモン(FT3 FT4)が分泌される。

【バセドウ病の場合】
スイッチを押す自己抗体(TRAb、TSAb)が作られてしまう。それが刺激して大量の甲状腺ホルモンが分泌され、様々な症状を引き起こす。

【橋本病の場合】
甲状腺の細胞を攻撃する自己抗体(TPOAg、TgAb)が作られてしまう。攻撃された甲状腺には慢性的な炎症が起こり、甲状腺ホルモンの分泌が低下してしまう。

自己抗体があってもホルモンは正常値の人が多いが、1~2割の人はホルモンが低下して症状が出る。人間ドックの基本検査にはないのでオプションを。検査についてはかかりつけ医に相談して下さい。

治療の選択肢
<薬物治療>
【バセドウ病の場合】
・抗甲状腺薬:過剰なホルモン分泌を抑える。
チアマゾール、プロピルチオウラシル

・無機ヨウ素:甲状腺ホルモンの分泌を抑える。
抗甲状腺薬が効かない、または副作用が出た場合

・β遮断薬:交感神経の働きを抑える。
頻脈などの不整脈が起こる場合に使用する

<アイソトープ治療>
【バセドウ病の場合】
放射性ヨウ素(ヨウ素131)の入ったカプセルを飲み、ヨウ素が甲状腺に集まる性質を利用して甲状腺の細胞を壊し、ホルモンが作られ過ぎるのを抑える。

<手術>
【バセドウ病の場合】
甲状腺があまりにも肥大した場合や、薬やアイソトープ治療が効かない場合など全摘出手術が基本。甲状腺ホルモン剤を飲めば普通の生活ができる

「橋本病の場合」
・経過観察
橋本病ではあるがホルモンの機能は正常という場合。

昆布やサプリメントなどによるヨウ素の摂り過ぎを控えると甲状腺機能が正常になることもある。

・薬物治療
甲状腺ホルモン剤を飲むと元気になることが多い。

妊娠出産について
【バセドウ病の場合】
妊娠に時期に合わせて抗甲状腺薬をコントロールして副作用を防ぐ。

【橋本病の場合】
赤ちゃんの発達に影響するという報告がある。甲状腺機能を正常値に保つための緻密なコントロールが必要。

※少しでも気になる症状がある場合、特に40歳以上の女性は、健康診断のつもりで一度甲状腺のチェックすることが推奨されている。血液検査と超音波検査で、殆どの場合診断がつく。