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潰瘍性大腸炎とは?

潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に炎症が起こり、潰瘍ができる病気だといいます。現在のところ完全に治すことは難しく国の指定難病の1つです。2016年のデータですが、患者数は17万人いるといわれています。

はっきりとした原因は分かっていませんが、食文化の欧米化によって日本人の腸内細菌の変化が起こり、潰瘍性大腸炎の発症数が増加したのではないかと考えられています。

原因は免疫の異常
大腸には食べ物と一緒に細菌やウイルスなども入り込んでくるといいます。それらを排除するため、免疫細胞が大腸の壁のすぐ内側に密集しており、体中の免疫細胞の約7割にもなるといわれています。

ところが何らかの原因で、本来は体を守る免疫細胞が過剰に働くことで、粘膜組織が傷つき腸の壁が崩れてしまうといいます。そうなると、様々な物質が大腸の粘膜を刺激し炎症が続くようになってしまうといいます。これが潰瘍性大腸炎です。

免疫細胞の異常が起きてしまう原因は人によって異なりますが、食生活や生活習慣の乱れ、ストレス、腸内細菌のバランスの乱れによって病気になると考えられています。

潰瘍性大腸炎を発症すると、粘液の混じった便と血便が出ることが多くあるといいます。その後排便の回数が増えていき、最終的には腹痛が出てくるといいます。

排便回数が1日5回以上で下痢が続くような場合は、検査を受けることが推奨されています。発症してから10年以上経つと、がんの発生率が5~10%になるといわれています。

内視鏡で腸内を見る
血液検査:炎症の程度を調べる。

便検査:便のカルプロテクチン(腸の中の炎症の程度)の値を調べる。

大腸内視鏡検査:カメラのついた内視鏡を肛門から挿入して大腸の炎症範囲や程度を診断する。

大腸内視鏡検査を行うことで潰瘍性大腸炎の炎症の広がりを知ることができるといいます。炎症の広がりから3つのタイプにわかれるといいます。
1.直腸だけに炎症22%
2.左側だけに炎症27%
3.大腸全体に炎症38%

※炎症が大腸全体に広がっているタイプが重症になりやすいといわれています。

内視鏡検査で炎症の状態を把握することもできるといいます。粘膜がただれていて一部に小さな潰瘍のある活動期、粘液便、血便、下痢、発熱などの症状が現れるといいます。

粘膜がきれいで血管も透けて見える右側の画像の状態の寛解期、この場合は症状が現れないといいます。但し、寛解期であっても急に活動期に入る再燃というのがあるといいます。

再燃を抑えて、寛解期をできるだけ長く維持することが重要だと考えられています。

状態に合わせた治療
軽症:5-アミノサリチル酸製剤で粘膜の炎症を抑える

中等症:5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド薬、免疫調節薬を併用

重症:抗TNF-α抗体製剤、カルシニューリン阻害薬などを併用

※現在は、抗1L-12/23p40抗体製剤、抗α4βインテグリン抗体製剤、JAK阻害薬も使用可能になっているようです。

白血球除去療法
患者さんから血液を抜きフィルターに通して、炎症を引き起こしている活性化した白血球だけを取り除き、元に戻すという日本で開発された方法もあるといいます。

1回1時間程度かかり、合計で10回を目安に行われるといいます。患者さんの状態によって1週間に行う回数を決めていくといいます。この療法を受けた人の40~50%が寛解に入るといわれています。

内科的療法を行っても症状が改善されない場合や、潰瘍性大腸炎から大腸がんを発症した場合は、手術で大腸を全て摘出するといいます。